ジェノグラムの例(記入例):完成した家族図11点

ジェノグラム練習問題の11事例を、完成したジェノグラムとして載せました。手で描いたものはなく、すべて Auruda Genogram のツールが名前とメモ付きで実際に描いたものです。歴史上の人物の5事例は150年以上前に亡くなった人を扱い、公開された史料で確認できる関係・年・出来事だけで描いています。匿名事例の6事例は、現場でよくある状況(カウンセリングで出会う対立する夫婦5組と、社会福祉のケースマネジメントで出会う、祖父母が孫を育てる世帯1つ)の構造だけを取り出したもので、実在の人物ではありません。どれも臨床事例ではなく、表記の練習です。

関係線はツールと同じ見た目です。ジグザグは対立、2本の平行線は親密、3本は融合、点線は疎遠、中央で途切れた線は断絶、矢じりは向きを表します。ジェノグラムを選ぶと原寸の画像が新しいタブで開きます。すべての記号はジェノグラムの記号一覧にあります。

歴史上の人物のジェノグラムの例は?

歴史上の人物の家族を描いたジェノグラム5点です。エイブラハム・リンカーン、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、朝鮮の李舜臣(イ・スンシン)、朝鮮王朝の正祖(チョンジョ)と燕山君(ヨンサングン)。どれも公開された史料で確認できる関係・年・出来事だけで描いています。

  1. 歴史上の人物●●●上級家族トラウマ

    世子の息子

    朝鮮第22代国王 正祖(1752-1800)

    祖父が父を死に追いやった場所で育った王。4世代にわたる王家の家族を描きます。

    ジェノグラムの例:世子の息子

    読み取りのポイント 英祖から純祖まで4世代が上から下へ続き、二重線で縁取られた正祖が本人(IP)です。赤い関係線は2本とも英祖につながっています。思悼世子へのジグザグは対立、正祖への線の先にある二重の矢じりは養育者の線で、息子と背を向け合った祖父がその息子の子を育てたという構図がひと目でわかります。

    この事例を自分で描いてみる →
  2. 歴史上の人物●●●上級家族子ども・若者トラウマ

    母の死の真相を遅れて知った息子

    朝鮮第10代国王 燕山君(1476-1506)

    満5歳のときに毒薬を賜って死んだ母の真相を、王位に就いてから知った王。継母と異母きょうだいを含む2世代を描きます。

    ジェノグラムの例:母の死の真相を遅れて知った息子

    読み取りのポイント 成宗と2人の王妃、異母兄弟である2人の息子からなる2世代の図で、二重線で縁取られた燕山君が本人(IP)です。廃妃尹氏から燕山君へ向かう矢じりの線は焦点化、貞顕王后と燕山君を結ぶ平行な2本線の間のジグザグは親密かつ敵対です。貞顕王后からは親子線がなく、この関係線だけが燕山君に届いているので、育てた母と産んだ母が図の上で分かれます。

    この事例を自分で描いてみる →
  3. 歴史上の人物●●●初級家族

    4人兄弟の三男、戦場で失った息子

    朝鮮 李舜臣(1545-1598)

    末の息子と李舜臣自身が、年を続けて戦場で亡くなった家。両親から息子まで3世代と、きょうだいの順番を描きます。

    ジェノグラムの例:4人兄弟の三男、戦場で失った息子

    読み取りのポイント 両親、4人兄弟、3人の息子が3段に並ぶ3世代の図で、二重線で縁取られた李舜臣が本人(IP)です。きょうだいは左にいるほど年長なので、李舜臣は4人兄弟の三男、イ・ミョンは3人の息子の末っ子の位置に立ちます。赤い関係線が1本もないのは描き忘れではなく、兄弟間の感情を伝える記録がないため、あえて空けてあるのです。

    この事例を自分で描いてみる →
  4. 歴史上の人物●●●中級家族トラウマ子ども・若者

    繰り返される喪失 — 3人の息子の死

    第16代アメリカ合衆国大統領 エイブラハム・リンカーン(1809-1865)

    9歳で母を亡くし、4人の息子のうち3人が早くに亡くなりました。継母が加わった再婚家庭を描きます。

    ジェノグラムの例:繰り返される喪失 — 3人の息子の死

    読み取りのポイント トーマス・リンカーンの2度の結婚からエイブラハム・リンカーンの4人の息子まで3世代が並び、二重線で縁取られたエイブラハム・リンカーンが本人(IP)です。彼に届く関係線のうち、継母サラ・ブッシュ・リンカーンとの線は平行な2本線(親密)、実父トーマス・リンカーンとの線は点線(疎遠)です。血のつながった父よりも、再婚で家族になった継母のほうが近かったことが、2本の線の形の違いに表れています。

    この事例を自分で描いてみる →
  5. 歴史上の人物●●●中級家族依存症子ども・若者

    アルコール依存の父と、甥の養育権

    ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)

    アルコールに依存した父のもとで育ち、のちに甥の養育権をめぐって争いました。両親から甥まで3世代と、訴訟をめぐる関係を描きます。

    ジェノグラムの例:アルコール依存の父と、甥の養育権

    読み取りのポイント 両親の下に3人兄弟が1列に並び、その下の甥カールまで3世代で、二重線で縁取られたルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが本人(IP)です。カールの親子線は真ん中の夫婦、つまりベートーヴェンのすぐ下の弟とその妻から下りており、ベートーヴェンからは先に二重の矢じりがついた養育者の線が別に届いています。父ヨハンとベートーヴェンの間のジグザグは対立です。

    この事例を自分で描いてみる →

カウンセリングや福祉の現場の家族は、ジェノグラムでどう描きますか?

婚姻・離婚・親子の線で家族を並べたうえで、二人の関係の質を、対立・断絶・養育者といった関係線1本で示します。

  1. 匿名事例●●●初級夫婦・カップル

    支配と沈黙 — 結婚5年目の夫婦

    匿名のカウンセリング事例 · 2世代

    規則で相手を追い詰める夫と、口を閉ざしてしまった妻。二人と幼い子どもを描きます。

    ジェノグラムの例:支配と沈黙 — 結婚5年目の夫婦

    読み取りのポイント 夫と妻、そして息子からなる2世代の図で、二重線で縁取られた夫が本人(IP)です。二人の間には、まっすぐな矢印の線に細いジグザグが重なった線が1本、夫の側から妻の側へ伸びています。これが否定的な焦点化です。矢じりが指す側が、規則と叱責を受ける側だと読み取れば十分です。

    この事例を自分で描いてみる →
  2. 匿名事例●●●上級高齢者・介護夫婦・カップル家族

    十数年の介護 — ケアが壊した夫婦

    匿名のカウンセリング事例 · 3世代

    義母を十数年ひとりで介護した妻と、それを当然と考えた夫。夫の両親まで3世代を描きます。

    ジェノグラムの例:十数年の介護 — ケアが壊した夫婦

    読み取りのポイント 夫の両親、夫婦、子どもが3世代に並び、二重線で縁取られた妻が本人(IP)です。妻と義母を結ぶ線の先の二重の矢じりは義母の側を指す養育者の線で、ケアを受けた側が矢じりの先にいます。同じ妻が夫とはジグザグ(対立)で結ばれていて、長い介護と夫婦の溝が一人の人物に重なって見えます。

    この事例を自分で描いてみる →
  3. 匿名事例●●●中級夫婦・カップル

    浴びせる言葉と閉ざす口 — 追う者と離れる者

    匿名のカウンセリング事例 · 2世代

    きつい言葉をぶつける妻と、返事をやめた夫。一方が近づくほど、もう一方が遠ざかる二人を描きます。

    ジェノグラムの例:浴びせる言葉と閉ざす口 — 追う者と離れる者

    読み取りのポイント 夫、妻、娘からなる2世代の図で、二重線で縁取られた夫が本人(IP)です。二人を結ぶ赤い線は真ん中で途切れています。点線で描く疎遠が離れてしまった距離を表すのに対し、この断絶は、やり取りしていた返事が止まった状態を表します。関係線は夫婦の間の1か所だけで矢じりがないので、誰が誰に向かっているかではなく、二人の間の状態ひとつを表しています。

    この事例を自分で描いてみる →
  4. 匿名事例●●●中級夫婦・カップル危機介入

    疑いと暴力 — 結婚21年目の夫婦

    匿名のカウンセリング事例 · 2世代

    根拠なく配偶者を疑う妻と、暴力で応じる夫。成人した子どもまで描きます。

    ジェノグラムの例:疑いと暴力 — 結婚21年目の夫婦

    読み取りのポイント 夫、妻、成人した息子からなる2世代の図で、二重線で縁取られた妻が本人(IP)です。夫から妻へ伸びる太いジグザグは、まっすぐな線を挟まずにそのまま矢じりで終わります。これが身体的虐待で、矢じりのないジグザグ(対立)と違い、暴力が向かう側まで示します。息子の記号には両親から下りる親子線だけが届き、赤い線はないので、息子は争いの当事者ではなく、そのそばで育った子として読み取れます。

    この事例を自分で描いてみる →
  5. 匿名事例●●●上級夫婦・カップル子ども・若者危機介入

    隠していた過去 — 支配と暴力の応酬

    匿名のカウンセリング事例 · 2世代

    隠していた借金と以前の結婚が明らかになったあと、互いに同じ強さでぶつかり合う夫婦を描きます。

    ジェノグラムの例:隠していた過去 — 支配と暴力の応酬

    読み取りのポイント 夫、妻、息子からなる2世代の図で、二重線で縁取られた夫が本人(IP)です。二人を結ぶ、平行な2本線の間をジグザグが通る線は親密かつ敵対で、激しくぶつかりながらも一緒に暮らす関係を表します。妻と息子を結ぶ平行な3本線は融合で、夫婦げんかのただ中で、その二人の間の境界がぼやけたしるしです。

    この事例を自分で描いてみる →
  6. 匿名事例●●●上級社会福祉子ども・若者家族

    祖父母と孫の世帯 — 祖母に育てられる子ども

    匿名の社会福祉事例 · 3世代

    両親の離婚後、父方の祖母に育てられている小学生。ケースマネジメントの初回面接で、祖父母から3世代を描きます。

    ジェノグラムの例:祖父母と孫の世帯 — 祖母に育てられる子ども

    読み取りのポイント 父方の祖父母、両親と継父、本児が3世代に並び、二重線で縁取られた本児が本人(IP)です。父と母を結ぶ婚姻線の上の2本の斜線は離婚、父方の祖母から本児へ下りる二重の矢じりの線は養育者の線です。本児を育てる線が父方の祖母の1か所からしか出ていないことが、この図の要点です。

    この事例を自分で描いてみる →

Auruda 編集チーム · 最終確認 2026-10-27 · 表記のルールはジェノグラムの書き方で解説しています。